活動紹介
国際学校保健コンソーシアムの活動を紹介します。

ケニアにおける学校保健の導入


報告日時:2020年3月13日
報告者:秋山 剛(長野県看護大学人間基礎科学講座 准教授)

報告者らが、ケニアにおける包括的学校保健の導入とその効果について論文を公表しました(下記リンク参照)。長崎大学 熱帯医学研究所、Kenya Medical Research Instituteおよび教育省、保健省が2012年から2018年にかけて実施したJICA草の根技術協力プロジェクト「健全な地域社会をつくる学童支援プロジェクト」の活動の一つとして、申請者らが同国の学校保健プログラムを、現地の小学校を対象に導入しました。活動地域は西部ビクトリア湖岸のMbita周辺地域の小学校で、今回の論文では主に2013年―2016年にかけての学校保健の改善状況について報告しています。また、学校保健の状況と、学業成績と有意な関連についても検証しました。
論文アブストラクト:https://doi.org/10.1093/heapro/daaa005

  

ネパールでの学校と家庭での菜園プロジェクト


報告日時:2020年3月7日
報告者:Rachana Manandhar Shrestha 
(東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻国際地域保健学教室客員研究員、
スクールホームガーデンプロジェクトのプロジェクトコンサルタント)


 ジャンクフードの消費量は、学齢期の子供の間で増加しています。先行研究では、学齢期の子供がジャンクフードの広告にさらされることによってより、ジャンクフードに魅了されやすく、その結果、ジャンクフードの摂取量が増加することが示されています。さらに、不健康な食品のマーケティングは学校周辺に集中しており、子供たちや周りのコミュニティーがジャンクフードを容易に入手できるようになりました。

 

写真:学校敷地内のスナックショップと学童

 スクールガーデンという取り組みは、低所得国と高所得国の両方で広く使われているアプローチで、子どもの食事に関する知識や、好みや選択に影響を与えます。しかしながら、このようなプログラムは、実際の食物の選択に関する影響は、食物の知識と好みに関する影響よりも少ないことが示されています。これらの理由として、スクールガーデンが親の食行動にまで十分な影響を与えていないことや、子供の家で健康的な食品が常に入手できるとは限らないということが考えられます。そのため、学校と家庭両方での菜園プロジェクト「子供たちの健康的な食事選択への取り組み:学校と家庭菜園を組み合わせた実証実験」が、ネパールのシンドゥパルチョク地区にある合計30の学校で、ネパール政府とタイのWorld Vegetable Centerと共同で実施されました。
 
 このプロジェクトは、1年間のクラスターランダム化比較試験で、15の介入校と15の対象校があり、8-12際の900人の学童とその保護者が対象となりました。このプロジェクトの目的は、園芸の実地体験と栄養教育を組み合わせて、学童とその両親の食物選択に影響を与えることでした。このプロジェクトは、学童とその世帯に、果物や野菜などの健康食品を育て、それらを食べる方法について伝えました。 データは、介入前後において(2018年から2019年にかけて)子供と保護者から収集しました。この研究の結果によって、学校の庭を通して子供たちがより健康的な食物を選択できるようにするためには、子供とその保護者をターゲットにする必要があることを明らかにしました。
 
 
写真:学校の菜園と家庭菜園で働く学童とその保護者



 

学校精神保健の基本プログラム開発のためのワークショップ

報告日時:2020年1月31日
報告者:西尾彰泰(岐阜大学保健管理センター)

報告者らは、東南アジア諸国で用いることができる学校精神保健の基本プログラムを開発するための第一段階として、東南アジア教育大臣機構と共同でワークショップを開催した。
ワークショップは、タイのバンコクにおいて、2019年3月6,7日に行われ、ASEAN諸国から担当者が集まり、各国の学校精神保健の現状を報告し、それを元にASEAN諸国で採用されるべき、学校精神保健のミニマムスタンダードについて討論を行った。そこで報告された各国の現状を、①学校精神保健に関する法律・法令、②学校における精神保健サービス、③メンタルヘルスに関する教員の研修、④生徒向けのメンタルヘルス教育の4つの観点から分析を行い、その結果を「Current situation and comparison of school mental health in ASEAN countries」として執筆し、学会誌に掲載された。
また、ワークショップでは、学校精神保健のミニマムスタンダードとして、①生徒のメンタルヘルス教育(教員のトレーニングも兼ねる)、②地域のメンタルヘルスリソースと、学校の連携システムの構築、③子供のメンタルヘルスを評価する簡便なツールが必要であることが確認された。そこで、①を実現するために、小学生・中学生・高校生向けに、それぞれメンタルヘルス教育の教材を作成し、フィリピンの教育省と連携して、2019年9月より、フィリピンのパンパンガ州において、実際に現地の教員に使用してもらった。12月3,4日にフィードバックセッションを行い、教員からコメントをもらい、より使用しやすい教材へと改訂した。そして、改訂された教材をフィリピンの教育省へ提供した。今後は、フィリピン国内での認可プロセスを経て、2021年の夏頃には、フィリピン政府公認の教材として出版される予定となっている。

 
 

ラオスにおけるエコヘルス教育の推進のための教科書改訂及び教師用指導書作成会議


2019年12月23日~28日の6日間、ラオスの首都ビエンチャンにあるラオス国立大学教育学部にて、「エコヘルス教育」の教科書改訂と教師用の指導書の作成のための会議が行われました。エコヘルスとは、社会経済発展と生態系や人間の健康のバランスを保つことを目指す健康観のことで、その健康観に基づく「エコヘルス教育」をラオスの教員養成機関に導入する活動を、日本の文部科学省、JICA等の支援を受けて実施しています。また、本プロジェクトは、学校保健コンソーシアムのメンバーである、朝倉隆司教授(東京学芸大学)、友川幸准教授(信州大学)、國土将平教授(神戸大学)の協力で実施されています。現在、エコヘルス教育は、ラオスの教員養成機関において、正式なカリキュラムとして導入されており、2018年9月に、教科書の第一版が発行されました。その後、より質の高い教科書と教師用の指導書が必要であるという現地教員の声を受け、2019年6月から教科書の改訂及び教師用指導書の作成のための会議を開催し、議論を重ねてきました。会議には、ラオス国立大学教育学部と教員養成校の教員、現地で活動するJICA海外協力隊等が参加しており、現場での実践を踏まえて、ラオスの教育事情にあった教育内容の提案のための議論を行っています。改訂版の教科書と指導書は、2020年1月に発行され、国立大学教育学部および全国の8つの教員養成校にて使用される予定です。(報告:JICA海外協力隊 サバナケット教員養成校・佐野志帆)

 

 

ネパール・カトマンズでの高校生への結核教育


 

ネパール・カトマンズ地域の学校に通っている高校生を対象に、結核教育について現地NGOと共同して取り組んでいます。2019年には、「高校生がコミュニティの結核予防のために知っておくべき知識」について、学校の保健担当教師、コミュニティ結核ボランティア、DOTsポストスタッフ、および郡結核対策担当者によるコンセンサス調査を実施しました。今は、その結果の論文化を進めています。
                      (報告:城川美佳)

国際学校保健コンソーシアム年次会議

 
 

令和元年12月2日(月)に、(日本学校保健学会第66回学術大会の翌日)、国立国際医療研究センター研究所にて、国際学校保健コンソーシアム年次会議が開催されました。

午前中は、各班の進捗発表があり、午後は、定例会議がありました。
たくさんの発表があったのですが、代表的なもののみ報告させていただきます。

溝上班:
スリランカでの学校保健プロジェクトを実施している。しかし、スリランカでは、先日、連続爆弾テロがあり、現在は研究実施が困難とのことで、アプローチ方法を変えて研究計画を作成し直しているところです。


小林班:
イスラム圏であるインドネシアにおいて、宗教教育がメンタルヘルスにどう影響しているかの質的調査を実施している。
また、小林先生は、最近、宗教教育のメンタルヘルスへの影響についてのシステマティックレビューを投稿されました。(詳しくは、2つ前の記事をご参照ください)


朝倉班:
ラオスにおける社会的健康を推進する学校保健に関する研究を実施している。これまで、様々な介入(エコヘルス教育に必要とされるコンピテンシーの解明等)が行われてきて、これから論文として発表していく段階です。


神馬班:
ネパールの子どもたちの栄養状態が悪く、また、Food diversityが少ない食事をしている。この問題を解決するために、ネパールでのスクール&ホームガーデンプログラムを実施している(クラスターRCT)。

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国際学校保健コンソーシアムの活動は、今年で9年目に入ります。
代表理事の小林先生から、
「我々の子どもたちに何が起きてくるか、想定しながら課題を見つける。
本コンソーシアムは、未来志向型な活動をやるべきなのかもしれない。」
というお言葉がありました。

普段は、オンラインにて事務局会議を毎月実施していますが、このように顔を見合わせて議論する時間もとても良いなと思いました。

国際学校保健コンソーシアムでは、新規会員を募集中です。
興味のある方は、HPよりお問い合わせください。お待ちしております!

報告者:手島祐子

日本学校保健学会 第66回学術大会

 事務局メンバーの野口祐子です。

 2019年11月29日~12月1日に東京都の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われた、一般財団法人日本学校保健学会第66回学術大会に参加しました。
国際学校保健コンソーシアムでは、12月1日に「
SDGs時代の国際学校保健ーその複雑さと多様性」と題して課題別セッションを行いました。

 まず冒頭に、友川幸准教授(信州大学)から、本セッションの企画主旨が紹介され、城川美佳講師(神奈川県立保健福祉大学)により「外国にルーツを持つ子どもと
学校給食」、西尾彰泰教授(岐阜大学)により「東南アジアの子どものメンタルヘルス」、小林潤教授(琉球大学)により「宗教・道徳教育が学校保健の推進に果たす役割」、山本ベバリー・アン教授(大阪大学)により、「外国の性教育とジェンダー教育」について報告しました。最後に、杉田映理准教授(大阪大学)によって大阪大学が主催するユネスコチェアの取り組みについて情報提供が行われました。

 ディスカッションでは、フロアーとの活発な意見交換が行われました。今後も学会等を通してより多くの方に活動を発信、繋がることができれば幸いです。

                                                   
     
                   


宗教教育のメンタルヘルスへの影響について研究



フィリピン大学公衆衛生学部、マタラム大学医学部と協力して宗教教育のメンタルヘルスへの影響について研究を実施しています。70以上の文献レビューをもとに議論を進め、一つの論文としてまとめ、以下のように結論づけました。「思春期のメンタルヘルスに関する宗教教育の重要な役割について考えることが重要です。学校ベースのメンタルヘルス教育は、思春期のメンタルヘルスにプラスの影響を与えます。宗教教育の効果的な実施に重点を置くことにより、宗教教育の利益を最大化できます。」
 
Religious education can contribute to adolescent mental health in school settings
Crystal Amiel M. Estrada, Marian Fe Theresa C. Lomboy, Ernesto R. Gregorio Jr., Emmy Amalia, Cynthia R. Leynes, Romeo R. Quizon & Jun Kobayashi
International Journal of Mental Health Systems 13: 28 (2019)
https://ijmhs.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13033-019-0286-7
                      (報告:小林潤)
 

スリランカにおける寺の日曜学校を介した地域住民への生活習慣介入研究

スリランカにおける寺の日曜学校を介した地域住民への生活習慣介入研究
 
日程:2018年8月18日(土)~22日(水)
参加者:溝上哲也、福永亜美 (国立国際医療研究センター)
報告者:福永亜美
 
私たち研究グループはスリランカにおける寺の日曜学校を介した地域住民向けの生活習慣介入研究の計画のため、8月18日から5日間、スリランカを訪れました。これまで、私たちは生徒や地域の青少年クラブ員が媒介役となって、親や地域住民の生活習慣を改善するという「子どもから親あるいは地域住民へ」というアプローチで研究を進めてきました。このたび、寺の日曜学校に通う生徒のエンパワーメントを通じて地域住民の生活習慣病予防に取り組むことにしました。
 
私たちが訪れたお寺では毎週日曜日に5歳から15歳の子どもが僧侶や日曜学校の先生から仏教について学んでいます。このお寺では、社会活動の一つとして、健康増進財団(スリランカのNGO)の支援のもと、子どもが健康増進について学び、それを地域住民に伝える取り組みが始まっています。今回の私たちの訪問にあわせ、活動報告を兼ねた歓迎会を開いてくれました。歓迎の挨拶にたった学校の先生である母親は、短期間の取り組みにも関わらず2キロの減量に成功した自身の体験談を交えつつ、こうした予防活動の意義を力説しました。余興として、子どもたちが自作の劇を披露してくれました。スリランカでは近年、麻薬使用者の増加が社会問題になっています。子どもたちはその劇によって、麻薬の恐ろしさを迫真の演技で訴えかけました。
 
現地協力者であるコロンボ大学元教授Samarasinghe氏のお宅を訪問し、WHOスリランカのGunawardena氏、健康増進財団のFernando氏、Indrawansa氏らとともに、研究デザイン(ステップウェッジ・クラスタRCT)を中心に研究計画について話し合いました。
 
JICAスリランカ事務所を訪れ、学校保健研究などの成果や日曜学校における研究計画を説明しました。JICA保健担当者からはスリランカにおける学校保健の動向や生活習慣病に関する日本での研修プログラムについて情報を共有いただきました。その際に紹介いただいたスリランカ保健省生活習慣病対策統括官であるWickaramasubghe博士を訪問最終日に訪ね、私たちのこれまでの取り組みを紹介した上で、新たな研究への支援を要請しました。
 
今回のスリランカ訪問によって、本研究の方向性が明快となり、また研究の発展に繋がる新しいネットワークをつくることができました。日曜学校での研究事業を通して、子どもたちがスリランカにおける生活習慣病の予防に貢献する力を養ってくれることを祈っています。


 
  お寺での集合写真                                                                  ​子供たちによる麻薬のリスクを描写した劇

   
  子供たちが作成した健康な生活を促すポスター        ​Indrawansa氏と溝上部長


  子供たちとの交流 
 

国際学校保健事務局会議@大阪大学

みなさん、こんにちは!
今年度から、事務局メンバーとして運営を行うことになりました、手島祐子です。
 


6月に大阪大学で国際学校保健事務局会議を開きました。事務局メンバーは通常、毎月オンラインで会議を開いているので、このようにみんなが一堂に集まって議論する機会は、とても貴重でした。主に、ユネスコチェア、Edu-port、日本の学校の健康に関する出版物、2019年のアジア学校健康栄養トレーニングコースなどについて話し合いました。
私は、今大学院の修士課程にいるのですが、他大学のその分野の専門家の先生方と一緒に議論する機会はとても勉強になり、また、モチベーションもアップしました。。

また、会議の後は、大阪のソウルフードの「たこ焼き」と「お好み焼き」を楽しみました!