活動紹介
国際学校保健コンソーシアムの活動を紹介します。

ブルキナファソでの学校保健活動についての報告

報告日時:2020年5月24日
報告者:渋谷 文子

みなさん、こんにちは。
今年度より事務局メンバーに加わりました、渋谷文子です。

私はJICA青年海外協力隊の看護師隊員としてブルキナファソで活動していました。首都ワガドゥグから約2時間離れた場所にあるクドゥグ市にあるカトリックの女子校において学校保健活動を行いました。現地教員と共に保健の授業を行い、性教育(月経指導や性感染症等)やマラリアに関する予防知識の普及に努めました。栄養指導や手洗い指導など日常生活の保健衛生に関する指導も行いました。また、保健室を立ち上げて、身体計測や健康相談に関する保健指導を実施し、生徒の健康管理能力の向上に対する支援を行いました。継続性のある活動を行うことが自己の課題であり、任期終了後も学校職員が学校保健活動を継続できるように、現地教員と共に保健の教材を作成し、保健室の管理は学校長に引き継ぎました。

文化や社会的背景が強く、また信仰する宗教の規則に伴い、性教育の指導内容に制約が生じ指導が難しかったです。実際に若年妊娠や性感染症に罹患した生徒も在籍していましたが、これらの背景に伴い予防策の指導が十分に行えませんでした。このことから、教育機関での予防教育と学校保健体制を整えることが必要であると感じました。現在は琉球大学大学院保健学研究科国際地域保健学教室修士課程に在籍し、開発途上国の性教育に関する研究を行う予定です。研究活動を通して、解決すべき問題点や自身の活動を通しての疑問に対する答えを明らかにして、学校保健体制を改善できるように取り組んでいきたいと思っています。

  
手洗い指導の様子                                                                       保健の授業風景

  
現地教員と共に指導している様子                                                   身体計測の様子
     

 

ネパール・カトマンズでの高校生への結核教育の論文発表

報告日時:2020年4月28日
報告者:城川 美佳

2019年度に実施した、調査の結果が論文として発表されました。
Gopali, RS., Maharjan, B., Kigawa, M.. (2020). Expert Consensus on the Essential Preventive Knowledge of Tuberculosis for High School Students, Kathmandu, Nepal. Biomed J Sci & Tech Res 26(2), 19849-19857. BJSTR. MS.ID.004332. DOI: 10.26717/BJSTR.2020.26.004332
https://biomedres.us/pdfs/BJSTR.MS.ID.004332.pdf

ネパールは、世界的にも有数の結核高蔓延国です。結核対策には、予防教育、受診、治療とそのモチベーション維持、と多岐にわたり、それぞれに課題が生じています。また、生徒が学校で習得した健康に関する知識を地域に広めあるいは地域での健康活動に参加することで、地域住民の知識の習得・普及に効果があることが知られています。そこで、ネパールの結核対策において高校生も同様の役割を担うことが可能ではないか、と考えました。しかしながら、結核対策の教育項目の優先順位は、それに関わる専門家の専門領域によって異なります。また、高校生では様々な知識の習得が必要ですし、成績に直接関わらない保健教育の1項目でしかない結核に関する知識は彼らにとって優先順位が低いかもしれません。そこで、本研究では、多領域の専門家の優先順位を意見集約するために実施しました。
今後は、ここで得られた知見をもとに、教材や知識普及のための方策について検討したいと考えています。

JC-GSHR/大阪大学UNESCOチェアがアジアにおける学校保健の専門家と共同研究

報告日時:2020年3月31日
報告者:小笠原理恵(大阪大学UNESCOチェア事務局)・杉田映理(大阪大学人間科学研究科)
 
JC-GSHRは、大阪大学に設置されたUNESCOチェア「グローバル時代の健康と教育」のパートナー機関となり、アジアにおける学校保健の専門家ネットワークを構築しています。JC-GSHRの小林潤理事長は、大阪大学UNESCOチェアの運営委員会のメンバーにも就任しています。2019年5月10日には、大阪大学UNESCOチェアのキックオフ・シンポジウムが大阪大学の吹田キャンパスで行われ、小林理事長はじめJC-GSHRのメンバーも多く参加しました。
また、JC-GSHR/大阪大学UNESCOチェアとして、アジア諸国の学校保健についての共同研究を進めています。これまで、2019年5月10日~11日、9月16日の2回にわたってフィリピン、タイ、ラオス、カンボジア、ネパール、韓国、中国そして日本の学校保健の専門家たちを大阪に招き、ワークショップを行いました。ワークショップでは、各国の学校保健に関連する政策や取り組み、成功している点や阻害要因についてディスカッションを行い、国によるアプローチの相違について理解を深めました。
JC-GSHRのメンバーが各国の専門家のカウンターパートとなり、現在もこの共同研究は続いております。
 
 ※大阪大学UNESCOチェアについては:http://ou-unescochair-ghe.org/



2019年5月10日大阪大学UNESCOチェアのキックオフ・シンポジウム


アジアからの専門家とともに学校保健についてのワークショップ

ケニアにおける学校保健の導入


報告日時:2020年3月13日
報告者:秋山 剛(長野県看護大学人間基礎科学講座 准教授)

報告者らが、ケニアにおける包括的学校保健の導入とその効果について論文を公表しました(下記リンク参照)。長崎大学 熱帯医学研究所、Kenya Medical Research Instituteおよび教育省、保健省が2012年から2018年にかけて実施したJICA草の根技術協力プロジェクト「健全な地域社会をつくる学童支援プロジェクト」の活動の一つとして、申請者らが同国の学校保健プログラムを、現地の小学校を対象に導入しました。活動地域は西部ビクトリア湖岸のMbita周辺地域の小学校で、今回の論文では主に2013年―2016年にかけての学校保健の改善状況について報告しています。また、学校保健の状況と、学業成績と有意な関連についても検証しました。
論文アブストラクト:https://doi.org/10.1093/heapro/daaa005

  

ネパールでの学校と家庭での菜園プロジェクト


報告日時:2020年3月7日
報告者:Rachana Manandhar Shrestha 
(東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻国際地域保健学教室客員研究員、
スクールホームガーデンプロジェクトのプロジェクトコンサルタント)


 ジャンクフードの消費量は、学齢期の子供の間で増加しています。先行研究では、学齢期の子供がジャンクフードの広告にさらされることによってより、ジャンクフードに魅了されやすく、その結果、ジャンクフードの摂取量が増加することが示されています。さらに、不健康な食品のマーケティングは学校周辺に集中しており、子供たちや周りのコミュニティーがジャンクフードを容易に入手できるようになりました。

 

写真:学校敷地内のスナックショップと学童

 スクールガーデンという取り組みは、低所得国と高所得国の両方で広く使われているアプローチで、子どもの食事に関する知識や、好みや選択に影響を与えます。しかしながら、このようなプログラムは、実際の食物の選択に関する影響は、食物の知識と好みに関する影響よりも少ないことが示されています。これらの理由として、スクールガーデンが親の食行動にまで十分な影響を与えていないことや、子供の家で健康的な食品が常に入手できるとは限らないということが考えられます。そのため、学校と家庭両方での菜園プロジェクト「子供たちの健康的な食事選択への取り組み:学校と家庭菜園を組み合わせた実証実験」が、ネパールのシンドゥパルチョク地区にある合計30の学校で、ネパール政府とタイのWorld Vegetable Centerと共同で実施されました。
 
 このプロジェクトは、1年間のクラスターランダム化比較試験で、15の介入校と15の対象校があり、8-12際の900人の学童とその保護者が対象となりました。このプロジェクトの目的は、園芸の実地体験と栄養教育を組み合わせて、学童とその両親の食物選択に影響を与えることでした。このプロジェクトは、学童とその世帯に、果物や野菜などの健康食品を育て、それらを食べる方法について伝えました。 データは、介入前後において(2018年から2019年にかけて)子供と保護者から収集しました。この研究の結果によって、学校の庭を通して子供たちがより健康的な食物を選択できるようにするためには、子供とその保護者をターゲットにする必要があることを明らかにしました。
 
 
写真:学校の菜園と家庭菜園で働く学童とその保護者



 

学校精神保健の基本プログラム開発のためのワークショップ

報告日時:2020年1月31日
報告者:西尾彰泰(岐阜大学保健管理センター)

報告者らは、東南アジア諸国で用いることができる学校精神保健の基本プログラムを開発するための第一段階として、東南アジア教育大臣機構と共同でワークショップを開催した。
ワークショップは、タイのバンコクにおいて、2019年3月6,7日に行われ、ASEAN諸国から担当者が集まり、各国の学校精神保健の現状を報告し、それを元にASEAN諸国で採用されるべき、学校精神保健のミニマムスタンダードについて討論を行った。そこで報告された各国の現状を、①学校精神保健に関する法律・法令、②学校における精神保健サービス、③メンタルヘルスに関する教員の研修、④生徒向けのメンタルヘルス教育の4つの観点から分析を行い、その結果を「Current situation and comparison of school mental health in ASEAN countries」として執筆し、学会誌に掲載された。
また、ワークショップでは、学校精神保健のミニマムスタンダードとして、①生徒のメンタルヘルス教育(教員のトレーニングも兼ねる)、②地域のメンタルヘルスリソースと、学校の連携システムの構築、③子供のメンタルヘルスを評価する簡便なツールが必要であることが確認された。そこで、①を実現するために、小学生・中学生・高校生向けに、それぞれメンタルヘルス教育の教材を作成し、フィリピンの教育省と連携して、2019年9月より、フィリピンのパンパンガ州において、実際に現地の教員に使用してもらった。12月3,4日にフィードバックセッションを行い、教員からコメントをもらい、より使用しやすい教材へと改訂した。そして、改訂された教材をフィリピンの教育省へ提供した。今後は、フィリピン国内での認可プロセスを経て、2021年の夏頃には、フィリピン政府公認の教材として出版される予定となっている。

 
 

ラオスにおけるエコヘルス教育の推進のための教科書改訂及び教師用指導書作成会議


2019年12月23日~28日の6日間、ラオスの首都ビエンチャンにあるラオス国立大学教育学部にて、「エコヘルス教育」の教科書改訂と教師用の指導書の作成のための会議が行われました。エコヘルスとは、社会経済発展と生態系や人間の健康のバランスを保つことを目指す健康観のことで、その健康観に基づく「エコヘルス教育」をラオスの教員養成機関に導入する活動を、日本の文部科学省、JICA等の支援を受けて実施しています。また、本プロジェクトは、学校保健コンソーシアムのメンバーである、朝倉隆司教授(東京学芸大学)、友川幸准教授(信州大学)、國土将平教授(神戸大学)の協力で実施されています。現在、エコヘルス教育は、ラオスの教員養成機関において、正式なカリキュラムとして導入されており、2018年9月に、教科書の第一版が発行されました。その後、より質の高い教科書と教師用の指導書が必要であるという現地教員の声を受け、2019年6月から教科書の改訂及び教師用指導書の作成のための会議を開催し、議論を重ねてきました。会議には、ラオス国立大学教育学部と教員養成校の教員、現地で活動するJICA海外協力隊等が参加しており、現場での実践を踏まえて、ラオスの教育事情にあった教育内容の提案のための議論を行っています。改訂版の教科書と指導書は、2020年1月に発行され、国立大学教育学部および全国の8つの教員養成校にて使用される予定です。(報告:JICA海外協力隊 サバナケット教員養成校・佐野志帆)

 

 

ネパール・カトマンズでの高校生への結核教育


 

ネパール・カトマンズ地域の学校に通っている高校生を対象に、結核教育について現地NGOと共同して取り組んでいます。2019年には、「高校生がコミュニティの結核予防のために知っておくべき知識」について、学校の保健担当教師、コミュニティ結核ボランティア、DOTsポストスタッフ、および郡結核対策担当者によるコンセンサス調査を実施しました。今は、その結果の論文化を進めています。
                      (報告:城川美佳)

国際学校保健コンソーシアム年次会議

 
 

令和元年12月2日(月)に、(日本学校保健学会第66回学術大会の翌日)、国立国際医療研究センター研究所にて、国際学校保健コンソーシアム年次会議が開催されました。

午前中は、各班の進捗発表があり、午後は、定例会議がありました。
たくさんの発表があったのですが、代表的なもののみ報告させていただきます。

溝上班:
スリランカでの学校保健プロジェクトを実施している。しかし、スリランカでは、先日、連続爆弾テロがあり、現在は研究実施が困難とのことで、アプローチ方法を変えて研究計画を作成し直しているところです。


小林班:
イスラム圏であるインドネシアにおいて、宗教教育がメンタルヘルスにどう影響しているかの質的調査を実施している。
また、小林先生は、最近、宗教教育のメンタルヘルスへの影響についてのシステマティックレビューを投稿されました。(詳しくは、2つ前の記事をご参照ください)


朝倉班:
ラオスにおける社会的健康を推進する学校保健に関する研究を実施している。これまで、様々な介入(エコヘルス教育に必要とされるコンピテンシーの解明等)が行われてきて、これから論文として発表していく段階です。


神馬班:
ネパールの子どもたちの栄養状態が悪く、また、Food diversityが少ない食事をしている。この問題を解決するために、ネパールでのスクール&ホームガーデンプログラムを実施している(クラスターRCT)。

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国際学校保健コンソーシアムの活動は、今年で9年目に入ります。
代表理事の小林先生から、
「我々の子どもたちに何が起きてくるか、想定しながら課題を見つける。
本コンソーシアムは、未来志向型な活動をやるべきなのかもしれない。」
というお言葉がありました。

普段は、オンラインにて事務局会議を毎月実施していますが、このように顔を見合わせて議論する時間もとても良いなと思いました。

国際学校保健コンソーシアムでは、新規会員を募集中です。
興味のある方は、HPよりお問い合わせください。お待ちしております!

報告者:手島祐子

日本学校保健学会 第66回学術大会

 事務局メンバーの野口祐子です。

 2019年11月29日~12月1日に東京都の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われた、一般財団法人日本学校保健学会第66回学術大会に参加しました。
国際学校保健コンソーシアムでは、12月1日に「
SDGs時代の国際学校保健ーその複雑さと多様性」と題して課題別セッションを行いました。

 まず冒頭に、友川幸准教授(信州大学)から、本セッションの企画主旨が紹介され、城川美佳講師(神奈川県立保健福祉大学)により「外国にルーツを持つ子どもと
学校給食」、西尾彰泰教授(岐阜大学)により「東南アジアの子どものメンタルヘルス」、小林潤教授(琉球大学)により「宗教・道徳教育が学校保健の推進に果たす役割」、山本ベバリー・アン教授(大阪大学)により、「外国の性教育とジェンダー教育」について報告しました。最後に、杉田映理准教授(大阪大学)によって大阪大学が主催するユネスコチェアの取り組みについて情報提供が行われました。

 ディスカッションでは、フロアーとの活発な意見交換が行われました。今後も学会等を通してより多くの方に活動を発信、繋がることができれば幸いです。