インドネシア共和国ロンボク島西ヌサテンガラ州における包括的性教育に関するフィールドワーク
報告日時:2022年9月27日
報告者:渋谷 文子(琉球大学大学院保健学研究科 博士後期課程)
インドネシア共和国ロンボク島西ヌサテンガラ州において、マタラム大学医学部研究協力者のサポートのもと、包括的性教育に関する現地調査を実施しました。
包括的性教育とは、子どもや若者が責任ある選択をするために、態度やスキルを習得するための教育です。性的発達や妊娠等の性に関する知識の提供だけでなく、ジェンダー・人権・多様性・人間関係・性暴力の防止等も含めた包括的な教育を意味します(UNESCO, 国際セクシュアリティ教育ガイダンス)。
8月中旬に西ヌサテンガラ州において、思春期保健に携わる保健局、教育局、マタラム大学教育学部教員養成機関、公立高等学校、および国際NGOを訪問し、情報収集を行いました。
各訪問先において思春期世代の保健課題として挙げられていたことは、児童婚と早期妊娠の増加でした。さらに、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、児童婚はさらに増加していたことが明らかになりました。
西ヌサテンガラ州における現地調査を通して、この地域で包括的性教育を普及する意義は、思春期世代の児童婚と早期妊娠を未然に防ぐことであると考えられます。
この課題を解決するためには、保健と教育の双方の連携体制と国際NGO等の外部機関によるアプローチが必要であると思われます。
現地調査で得た情報をもとに、同地域の思春期保健課題の解決に向けて、更なる研究を計画しています。