アジア太平洋島嶼のポストコロナの健康・安全な学校に関する研究
目次
目的
アジア太平洋島嶼地域各国の新型コロナ感染症収束と収束後における健康安全な学校づくりに対して提言を行います。
概要
沖縄・グアム・フィリピン・インドネシアでの保健・教育・経済の分野での新型コロナ感染症の影響と対策における知見をまとめ、それを基に太平洋島嶼国(ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ、フィージー、パプアニューギニア等)との専門家との討議によって、島嶼地域のポストコロナの健康な社会・学校づくりに対して提言を行います。特に日本型学校保健としての保健管理・教育等の包括的な学校保健の実施と学校外組織・地域との連携に注目し、学校閉鎖時のICT活用や、それによる課題やメンタルヘルスの状況、その対応などについても分析を行います。
定例会議
新型コロナ感染症の世界的流行のため、現地に赴くことは難しい状況が続いていますが、国際研究パートナーであるインドネシアのマタラム大学医学部、フィリピン大学マニラ校公衆衛生学部、グアム大学保健学部および国内のパートナーである信州大学、大阪大学、帝京大学とともに定期的に会議を開催し研究を進めています。
第1回研究パートナー会議 2021年10月8日
・研究の趣旨や研究方法の確認
第2回研究パートナー会議 2021年10月29日
・カリキュラム分析や政策分析についての各国での進捗状況報告
第3回研究パートナー会議 2021年11月19日
・各国の学校保健に関する政策と指導要領(ガイドライン)の分析での研究進捗状況報告
・施策状況を確認するための質問紙の内容の合意形成
第4回研究パートナー会議 2021年12月3日
・各国カリキュラム分析結果まとめ報告
第5回研究パートナー会議 2021年12月20日
・日本の政策分析結果報告
・国際ワークショッププロポーザル準備
第6回研究パートナー会議 2022年1月10日(予定)
・各国政策分析結果まとめ報告予定
・国際ワークショップ開催準備
アジア太平洋島嶼のポストコロナの健康・安全な学校に関する国際ワークショップ
2022年1月26日 オンラインにて開催しました。
参加予定国
インドネシア、フィリピン、グアム、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオ、フィージー、パプアニューギニア等
詳細は、こちらの記事をご覧になってください。
また、報告書は、こちら(英語)をご覧になってください。
第53回アジア太平洋公衆衛生学会(APACPH)でのシンポジウムを開催
2022年9月23日に開催予定
第53回アジア太平洋公衆衛生学会(APACPH)にて、WHO西太平洋地域事務所、国際学校保健コンソーシアム、琉球大学共催で、Healthy and Safe Schools for the Post-COVID-19 Era in the Asia-Pacific IslandsというテーマでEDU-Portプロジェクトの知見をシェアするシンポジウムを開催いたします。
詳細は、こちら
研究成果
(1) Perspectives of sustainable global school health promotion in Asia and Africa.
Kobayashi J, Takahashi K.
Pediatr Int. 2021 Sep;63(9):1009-1010. doi: 10.1111/ped.14867.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ped.14867
サマリー
特集「日本における学校保健の推進とアジア・アフリカへの貢献」では、さまざまなレッスンが紹介された。さらに、日本の学校保健の歴史的足跡についても学ぶことができ、また日本の学校保健が各国の学校保健分野での活動に影響を与えていることも知ることができた。この論説では、2つの論文を検討し、アジア、アフリカ、そして世界の中低所得国への教訓を抽出しようとするものである。
(2) Urgent need to strengthen school health in Asia and the Pacific islands.
Kobayashi J, Takeuchi R, Toyama Y, Gregorio ER Jr, Kadriyan H, Estrada CAM, Motomura M, Wake N, Yamada K, Ishikawa R, Takakura M.
Pediatr Int. 2021 Jul 14. doi: 10.1111/ped.14921. Online ahead of print.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ped.14921
サマリー
アジア・太平洋島嶼地域では,2021年のコロナウイルス症2019(COVID-19)パンデミックの継続による潜在的な学校閉鎖のリスク増大の影響に対処するため,学校保健活動・対策の強化が緊急に推奨される。2020年のCOVID-19の発生率はこれらの地域では比較的低かったため、多くの国が学校閉鎖の長期化を回避することができた。しかし、今後ワクチン接種が拡大し、パンデミックが終息傾向になったとしても、SARS-CoV-2亜種が子どもたちの間で蔓延するリスクも高まり、再び学校閉鎖を余儀なくされる可能性も高くなることが予想される。
(3) Recommendations for the urgent need to vaccinate school-aged and adolescent children against COVID-19 in the Asia-Pacific region.
Kobayashi J, Takeuchi R, Shibuya F, Murata Y, Takahashi K.
Trop Med Health. 2021 Sep 16;49(1):74. doi: 10.1186/s41182-021-00365-5.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8443906/
サマリー
西太平洋地域における青少年および学齢期の子どもに対するSARS-CoV-2感染予防接種プログラムの緊急拡大を提言する。2021年7月以降、この地域では子どものSARS-CoV-2感染が急増している。SARS-CoV-2 B.1.617.2(Delta)変異株により感染率が上昇する中、マスク着用やソーシャルディスタンスをとるといった現在の予防対策により、その拡大は効果的に抑制されている一方で、子どもたちの感染拡大を抑制するために、長期間の学校閉鎖の検討が進められている。しかし、学校閉鎖の長期化による悪影響は大きい。12歳以下の子供へのワクチン接種はまだ議論のあるところであるが、今から準備を進めておく必要がある。