セネガル共和国におけるフードセキュリティー調査の報告
報告日時:2024年6月30日
報告者:日達真美
長崎大学熱帯医学研究所 生態疫学分野の日達真美です。
今回は2024年1月に行った、西アフリカ・セネガル共和国での農村部のフードセキュリティー調査の報告をさせていただきます。
本研究は、ダカール大学内にあるLaboratoire de Recherche en Nutrition et Alimentation Humaine (LARNAH)の協力のもと実施しました。
まず、フードセキュリティーとは、国連食糧農業機関(FAO)により
「全ての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的、社会的及び経済的にも入手可能であるときに達成される状況」と定義されています。
セネガルを含む西アフリカ地域は、近年の気候変動に加えて、COVID-19パンデミックや、他国での戦争等の様々なショックが重なり、多くの人々のフードセキュリティーが危ぶまれています。
各家庭におけるフードセキュリティーを強固なものにし、様々なショックに耐えうる状態を構築することが大変重要ですが、言うは易し、それをアフリカの国々で実現するのはなかなか難しいのが現状です。
しかし、一方で大多数の人が、フードセキュリティーが保てずにいる環境で、似たような状況であるにも関わらず、なぜか上手くフードセキュリティーを保つ人々も存在します。本研究では、この「なぜかうまくフードセキュリティーを保つ人々」に着目し、その秘密を明らかにしたいというのが目的です。
調査は、セネガルの首都から約100km離れたDiourbel地方の4つの村で実施しました。
対象は、生後6~59ヵ月の子どもがいる世帯です。約230世帯を訪問し、家庭の状況やフードセキュリティー、子どもの栄養状態について調査を行いました。
研究アシスタント1名、スーパーバイザー2名、データコレクター6名でチームを編成しデータを収集しました。
調査に先立って選んだ世帯を一軒一軒訪問することはとても大変で、暑さの中、朝から夕方遅くまで調査は続きました。私の方が、心がくじけそうでしたが、どのメンバーもとてもモチベーションが高く、無事に調査を終えることが出来ました。
みんなで一緒に夕ご飯を食べて、一緒に雑魚寝をして過ごして収集したデータは宝物です。現在データ解析を終え論文執筆中です。
調査に協力してくださったセネガルの方々、調査チームのメンバーはもちろん、多くの人々に必ず本研究の成果を還元していきたいと思っています。