WHO西太平洋事務局における学校保健支援
報告日時:2023年7月21日
報告者:西尾彰泰
私は、2022年7月1日から2023年5月31日まで、WHOの西太平洋事務局(マニラ)にて、コンサルタントとして学校保健担当者として従事しましたので、その報告を行います。
WPROの中では、学校保健はDivision of Healthy Environments and Populationsという慢性疾患を主に扱っている部署の生活習慣病のユニットで扱われています。と言っても、生活習慣病という大きなテーマを扱うユニットに1人の常勤スタッフと、期限付きのスタッフであるコンサルタントがいたり、いなかったりするだけの小さなユニットです。
私は学校保健を担当する1人のコンサルタントという立場で、太平洋州島嶼国に対してトレーニングプログラムを企画・実施していました。部署内には、タバコ・コントロールだけのユニットもあるくらいですから、生活習慣病、ひいては学校保健の扱いがいかに小さいかがわかると思います。そうした体制ですので、各国の現状を把握しているわけでもなく、WHO本部から流れてくるガイドラインをなぞった抽象的な地域ガイドラインやフレームワークが時々作られるだけというのが現状です。
また、WHOはその性質上各国の保健省とはつながりをもっていますが、学校保健は教育省とのつながりをもっていません。これは、主に教育省とつながっているUNESCOやUNICEFにとっても同じことで、保健と教育の両省にまたがって活動しなければならない学校保健の難しさを感じました。しかし、WHOのリージョナルオフィスレベルでも、各国の学校保健政策に対して知見やビジョンを持っている人がいないことがわかりました。
日本の省庁などと連携して安定的な財源を確保することができれば、WHOやUNESCO、UNICEFにおいて、学校保健分野でのリーダになることができると思いました。