ちゃーがんじゅー(いつまでも健康) 学校・地域歯科保健プロジェクトのスタートにあたって
日時:2012年6月9日~14日
参加者:野中大輔(琉球大学)他6名
出張レポート
このプロジェクトは、JICAの草の根技術協力事業の一環として、2012年の9月から5年間ラオス国ビエンチャン市シサタナーク郡にて行われる予定です。今回の出張の主な目的は、日本側(琉球大学・沖縄ラオス口唇口蓋裂患者支援センター)とラオス側(セタティラート病院)との間で、プロジェクトの締結を行うことでした。出張中の活動は次の通りです。
第一に、シサタナーク郡の小学校を訪問し、生徒数や学校保健等に関する情報収集や一部の学童に対して歯科検診を行いました(写真1)。その結果、検診を受けた全員の学童から虫歯が見つかりました。この状況を校長先生に説明し、プロジェクトに参加してもらえるよう促しました。第二に、学校訪問で得られた情報をもとに、セタティラート病院関係者やプロジェクト対象校(公立小学校10校)を管轄しているシサタナーク郡教育局とともに、プロジェクト活動の細部を詰めPDMのドラフトを改訂しました。第三に、契約書(MOU)の作成や締結式、締結式の後に行われるデンタル・フェスティバルの準備を行いました。そして最終日にラオス国保健副大臣の参加のもと、無事に締結がされ、デンタル・フェスティバルに多くの方々が参加されました(写真2)。
2008年から2011年にかけて、沖縄ラオス口唇口蓋裂患者支援センターとセタティラート病院を中心とするラオス側との間で類似のプロジェクトが実施され、その結果ドンコイ小学校において虫歯がある学童の割合が約30%削減されました。これから始まるプロジェクトの目的は、これまでに強化された協力体制を活用しながら、1)プロジェクト活動の規模を拡大し全国展開するためのマニュアルを作成すること、2)歯科保健をエントリーポイントとして、学校保健・地域保健を強化していくこと、3)他の保健プロジェクト(特に母子保健プロジェクト)との連携などです。ラオスでは、日本のように地域に歯科クリニックがほとんどないため、虫歯の予防が極めて重要です。プロジェクトでは、正しく定期的な歯磨きやフッ素洗口、健康教育を通じて、学童の虫歯予防を目指しています。