第36回日本国際保健医療学会学術大会でのシンポジウム6「ウィズ・ポストコロナ時代における学校保健の国際的普及強化の必要性」
報告日時:2021年12月14日
報告者:手島祐子
みなさん、こんにちは。
国際学校保健コンソーシアム事務局メンバーで、(株)三祐コンサルタンツの手島祐子です。
11月27、28日にオンラインで開催されました第36回日本国際保健医療学会学術大会でのシンポジウム6「ウィズ・ポストコロナ時代における学校保健の国際的普及強化の必要性」について、報告いたします。
本シンポジウムは、国際学校保健コンソーシアム主催で、この分野で何十年にもわたり活動されてきた3名のコメンテーターの方をお招きして実施いたしました。
【発表者一覧(敬称略)】
座長:小林 潤(国際学校保健コンソーシアム・琉球大学保健学研究科)
演者と演題:
① 友川 幸(信州大学教育学部)上野真理恵(信州大学総合人文社会科学研究科)
「ウィズ・ポストコロナ時代における日本型学校保健の国際的普及の可能性とその課題」
② 手島 祐子((株)三祐コンサルタンツ、東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室)
「ウィズ・ポストコロナ時代における日本の学校給食・食育の国際展開の可能性について」
③ 杉田 映理(大阪大学 人間科学研究科)、小塩 若菜(大阪大学 人間科学研究科)
「コロナ禍の影響による学生の『生理の貧困』化から考える学校の対応」
④ 小林 潤(琉球大学大学院保健学研究科・国際地域保健学教室)
「ウィズ・ポストコロナにおける学校保健の必要性と課題」
メンテーター:
野崎慎仁郎(WHO西太平洋地域事務所)
大安喜一(ユネスコ・アジア文化センター)
國土将平(神戸大学人間発達環境学研究科)
オンラインでの開催で100数名の参加者がありました。また、パネルディスカッションでは、参加者からの質問・意見も多くあり、活発な議論を展開することができました。
学校保健分野で、何十年も実践をされてきたコメンテーター、パネリストの皆さんと時間を共にし、改めて学校保健へ注力していく意義を認識しました。
コメンテーターの皆さんからは、以下の大変学びのあるコメントをいただきました。
WHO西太平洋事務所の野崎慎仁郎先生より
今の学校保健のムーブメントは、1997年の橋本イニシアティブから始まっていて、日本がリードしていくべき分野の1つである。学校保健は、School-based approach、つまり、学校を入り口としてコミュニティー全体をターゲットとして公衆衛生事業を展開できることが強みである。
神戸大学人間発達環境学研究科の國土将平先生より
学校保健の活動は、活動自体にフォーカスされ、教育の中としての活動の意味付けが課題である。ヨーロッパ型の支援は、トップダウンで進められ、文化的な要素が無視されることがあるが、日本型の支援は、現場の実態を見て、それをどう政府に働きかけていくか、草の根型とトップダウン型を合わせた政策であることが特徴である。予算の課題(段階的な取り組みが必要)についても考慮する必要がある。
ユネスコ・アジア文化センターの大安喜一先生より
Edu-port等で日本の優良事例を海外に発信する取り組みがされているが、その際に、先方からも学ぶ姿勢が重要である。途上国と先進国と二分にはできない。他国の文脈に触れることで、日本の取り組みを見直すことが大事。アクションリサーチにおいては、地元の事情を理解して学校保健を進めるために、学校の中、地域の中において、関係者同士(政府、専門家、先生、生徒、保護者等)の対話が必要である。
今回、発表の機会をくださった国際学校保健コンソーシアムの皆様に感謝を申し上げます。私自身が仕事で学校保健分野に直接携われることはそう多くはないかもしれませんが、これからも、国際学校保健コンソーシアムの一員として、学び考え、ゆくゆくは研究や事業を展開していきたいと思いました。
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