子連れ博士学生の思い出
報告日時:2023年1月31日
報告者:日達 真美
長崎大学熱帯医学研究所の日達真美と申します。私は現在三児の母であり、博士課程在学時に妊娠・出産を経験したので、学生と妊娠・出産・子育ての体験を紹介させていただきたいと思います。
学生が妊娠?出産!?子育て?!なんて、問答無用と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、国際協力の道を目指し始めると、実務経験やフィールド経験が必要とされることが多く、経験を積んだ後にまた学びたいと思う頃に、結婚や妊娠・出産のライフイベントのタイミングもやってくるということは多いのではないでしょうか。
日本では、どちらかの選択をするということも多いかもしれませんが、海外へ出てみるとママ・パパ学生はたくさんいます。
私の場合は、0歳児を連れて博士課程へ入学をし、2年次および4年次に出産をしました。
正直なところ、学生という身分での妊娠ということもあり、周囲への報告をためらっていましたが、意を決して指導教官や研究室メンバーへ報告すると、驚きもせず「おめでとう!」と、祝福をしてくださいました。報告後ほっとした一方で、産後は休学して博士課程の長期戦を覚悟しましたが、研究室で出産後の話になった際に、指導教員の「子ども連れて来れば」の一言で思いがけず乳児同伴の学生生活が決定しました。
有難いことに、その後は研究室の方々で出産祝いにベビーベッドを購入してくださり、さらに設置に向けて席替えも行いました。
こうした周囲の強力な協力体制のおかげで、私は出産数日前まで学校に通い、無事に出産の至り、その後は乳児同伴の学生生活を送ることとなりました。
子連れ登校すると、留学生はとても赤ちゃんの扱いに慣れていて、いつも「抱っこさせてー」と声をかけてくれる一方で、日本人学生は「抱っこの仕方がわからない!!怖いー!!」と真逆の反応をするのが、とても面白しろい発見でした。また、子どもが動きたい時や機嫌の悪い時は、校内を散歩したりしながら過ごし、お昼寝時間に研究作業を行う姿を見ていた研究者が、子どもと一緒にフィールドに行こうと声をかけてくれ、新たな研究トピックの発掘にも繋がりました。
また、快適に子連れフィールドワークができるグッズ検討という想像もしなかった活動へと繋がりました。また、周囲の方たちがいてくださることで、子どもと2人きりで過ごす大変さが軽減され、気持ち穏やかに子どもと過ごすこともできたと感じています。
単身の頃のように全ての時間を研究時間に当てられたわけではありませんが、逆に時間の少なさへの焦りを、集中に変えることができました。とはいえ、私は要領が良いわけでもないため、ここでは書ききれない焦りや不安を抱えつつ、家族や研究室メンバーなどの周囲の協力を得て何とか過ごすことが出来たという表現が正しいかもしれません。まだ子連れ学生は珍しいですが、学びたいという気持ちに年齢制限はありません。その気持ちが重要なライフイベントと重なってしまうことは十分にあり得るのではないでしょうか。
私の場合は理解ある方々に恵まれたと言うことができると思いますが、今後は、これが「恵まれた」一部の人だけでなく、一つの在り方として広がっていくことを願っています。
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